CGクリエイターだけどブータンに来てみた

CGアニメーションの制作指導のためにブータンに住んでる日本人のブログ

8月終わり

今頃日本の小学生たちは嘆いているのでしょうか。いや、寝てますよね。

着任してから約1か月が経ちました。なんとなーくこの国のCG業界の雰囲気、私のすべきことが見えてきたのでまとめます。

 

私の仕事

私のこの国での任務は「ブータン国内におけるアニメーション制作技術、ディレクション能力の向上のための指導」です。平たく言うと「ブータン国産アニメのクオリティをどーにか上げるために手伝ってちょうだい。」です。

現在配属されている部署はMoIC (Ministry of Information and Communimation) = 情報通信省 という、テレビ放送、インターネット通信、ラジオなど、ブータン国内のICT全般をつかさどる部署です。ここではアニメーション製作、つまり企画、発注、放送を行っている製作会社、日本でいうとNHKのような感じです。

 

1999年、ブータンにはじめて「テレビ」がやってきました。それに続いて携帯電話、インターネット、スマホ・・・と普及していき、それまでほぼ鎖国状態だったヒマラヤの国に山の向こうの情報が一気に押し寄せました。受け取る情報はインド経由のものが多いのですが、BBSやCNNも放送されており、かつ国民のほとんどが英語を話せることから、海外からの情報にあっという間に影響を受けていったようです。

 

そんな中で懸念されたのは子供たちへの影響です。今の子供たちは物心つくころにはすでにテレビ、スマホが存在した「ITネイティブ世代」なため、ヒンディー語のアニメ(ドラえもんが放送されてます)やYouTubeの動画を見るのが大好きです。昔のようにおじいちゃんおばあちゃんの昔話を機会を失い、このままではブータンの文化と伝統が廃れていってしまう・・・と心配した政府が、「ブータン王国の誇りと伝統を守りつつ、近代化を受け入れていきたい」と、子供向けのブータンの昔話のアニメを作り始めました。

 

しかし、いかんせんアニメを専門職としてきた人がほぼいない国での制作はなかなか困難なようです。そこでアニメをたくさん作る日本人に協力要請がきて、私が赴任することになりました。


この一か月やったこと

メインのアニメーション製作に関しては、過去作品のレビューとか今後使用できそうなツールの検証などしてます。

しかし他の部署でも交通マナーの向上のためのキャンペーン映像を作りたい、メディアリテラシー教育のための映像を作りたい、などなどあるようで、ここぞとばかりに頼っていただいて

うれしいような、心配なような・・・。


今感じている課題点

「創造力」「絵心」「計画性」が今後ポイントになっていくと思ってます。もっと言うと「魅せる力」「そのための下準備」なんかがまだ足りないのかな?という印象です。

 

過去昨作品を見ていて、クオリティとか以前に「これは何歳向けのアニメなのかな?」「その世代の子たちの評判はどうなのかな?」と気になり同僚に聞いてみたところ

「ターゲット?うーん、『みんな』!」

「評判とかはリサーチしてないから・・・よくわからない」

と言われ、それまでモヤモヤしていたものの原因が分かった感じがしました。

コンセプト、目的、ターゲットの設定が今のところあいまいな印象です。

また、子供向けにしてはキャラクターのアクが強く、ともすればやや「不気味」な印象を受け、「これがブータンでは好まれるのか・・・?」などと考えていましたが、結論「デッサン力を向上すればよくなる」のではと気づきました。

というのも、キャラクターデザイン画がどこにも見当たらないのです。あくまでまだ推測ですが、「絵が描ける」人がおらず、キャラデザを起こさずにモデリングしてるのかもしれません。

また絵コンテ、アニマティクスなどの制作過程が見えるものが一切確認できなかったことから、全体的にほぼぶっつけ本番で制作している可能性も浮上しています。

9月中にCGスタジオ各社のヒアリングをすることになっていますが、もし私の推測が正しければこれは「計画性」の問題、そうでなければ「創造力」または「絵心」の問題になるでしょう。

 

10月からの新プロジェクトのためのProposal Fileが本日ぞくぞくと到着しました。

明日以降その選考が始まるので、なにか新しいものを配属先の人に共有していきたいです。では。